田辺寄席では、参加者に「田辺寄席ニュース『寄合酒』ー当日版」 をお配りしています。
  06年4月までは、桂文太師匠が出題する「寄合酒クイズ」と中川 桂氏(芸能史研究者・大阪大学非常勤講師)の演題の紹介が掲載されて いました。06年5月からは月3回公演に伴い紙面も変更され、三公演 の演題紹介と「楽語写」が掲載されています。このページには演題紹介を収録しました。
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第385回田辺寄席
06年3月19日(日)午後1時10分開演
(新・じっくりたっぷりの会―桂団朝の段)

一、つる    笑福亭 瓶成(鶴瓶門下)
 「鶴は千年」という言葉が思い出されるように、古くからツルは長命につながる神聖な鳥としてあがめられた。ところがそれが災いして、江戸時代にはツルの肉が珍重され、食用にされたという。長寿を保つ肉を体内に取り入れようとの考えだったようだ。毎年正月には宮中をはじめ幕府や大名家でもツルを料理する儀式が行われた。ツルも災難ですな。名前の由来を言いに回る程度なら罪がなくて結構ですが。


二、風呂敷     桂 団朝(米朝門下)
 住まいのリフォームや部屋の収納対策への関心が高まっており、雑誌や新聞でそんな特集を見る機会も多い。収納スペースは今では「クローゼット」。押し入れという呼び名も昔ほどは使われないようだが、確かに手当たり次第に何でも押し入れに突っ込んでいては、開けた途端に物が崩れ落ちてくるようなことになる。その点、このお宅の押し入れは、人一人入れる余裕があるのだから実に整理が行き届いている。


三、天神山     桂 千朝(米朝門下)
 後半は、芝居で知られた『芦屋道満大内鑑』のパロディ。現在でも文楽・歌舞伎ともに上演され、人気の高い演目である。安倍保名が助けた狐と夫婦になり、生まれた子供がのちの陰陽師・安倍晴明になるという話。芝居では狐を助けるのが保名、その保名と対立するのが悪右衛門で、落語ではその名前が利かせてある。文楽では人形の早替わり、歌舞伎では障子への曲書きと、それぞれ見せ場も工夫されている。

中入り

四、ズバリ当てま賞〜「ゆ」の三十九番
       桂 文太(五代目文枝門下)
前回、「き」の予想投票では『黄金の大黒』が他を一歩引き離して一番人気だったが、高座にかかったのは、二ヵ月連続で「その他」から『禁酒関所』だった。二回続けて「その他」はないやろう…と考えそうなもんだが、人も投票していたのは驚き。今月は候補が少ないか。
a、『夢見の六兵衛』夢の中で、嫁はんが何をしているのかが見えるという超能力者の話。もちろん古典ではありません。/b、『遊山船』暑気払いに難波橋へ夕涼みに出かけたところ、川をやってきたのが、揃いの浴衣を着たどこぞの稽古屋連中の船。/c、『夢の革財布』腕はいいのに怠け者の魚屋。夜明けに浜で拾った財布は、夢か、うつつか…。/d、その他


五、帯久      桂 団朝(米朝門下)
 噺の中にある「瓦屋町焼け」は実在の火事。ただ、米朝師匠も解説しているが内容をこの火災当時に設定すると、どうも時代が古くなりすぎてしまう。噺にリアリティを持たせるために実在の名前を使ったのだろう。史実としての瓦屋町焼けは宝暦六年(一七五六)の七月晦日に起こった出来事だった。南瓦屋町から中寺町へ燃え広がり、九軒の寺院が焼失したという。


紹介文執筆…中川 桂



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