田辺寄席では、参加者に「田辺寄席ニュース『寄合酒』ー当日版」 をお配りしています。
  06年4月までは、桂文太師匠が出題する「寄合酒クイズ」と中川 桂氏(芸能史研究者・大阪大学非常勤講師)の演題の紹介が掲載されて いました。06年5月からは月3回公演に伴い紙面も変更され、三公演 の演題紹介と「楽語写」が掲載されています。このページには演題紹介を収録しました。
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霜月席田辺寄席
第441回
11月17日(土)昼席 午後1時40分開演
〈いちもん会〉


一、How To プレイボーイ 桂 三幸(三枝門下)
 世はマニュアル時代。恋愛についてのハウ・ツー本も数え切れないぐらい出ている。マニュアルどおりで人の心をつかめるのか?

二、生中継・源平    桂 三扇(三枝門下)

 源平の合戦をスポーツ番組のように中継したら…というユニークな発想の噺。壇ノ浦の戦いのハイライトといえば、那須与一の「扇の的」の逸話だ。馬に乗った与一の弓矢の腕前は。

三、四四一号笑呆亭…『不動坊』から
     桂 文太(五代目文枝門下)
 講釈師・不動坊火焔の名前は、不動明王が火焔を背負っているところから。ただしこの講釈師、噺が始まった時にはすでに旅先で死んでいるので全く登場しない。代わって現れるのが不動坊の幽霊だが、それに扮するのもまた、同じ講釈師の軽田胴斎。こちらも「どうさいカルタ」という遊び道具からの命名である。

中入り

四、代脈        桂 珍念(文珍門下)
 代脈は今でいう代診。医療ミスも問題となる昨今、安易な代診は眼の敵にされそうだが、この落語では「たいした病人でもないのに、ご大家ゆえ毎日のように医者を呼ぶ」といった理由が語られているのが、噺家の気配りか。

五、花筏        桂 楽珍(文珍門下)
 横綱朝青龍問題から新弟子への暴行まで、とかくマイナスイメージがつきまとう今の大相撲。昔も替え玉という問題行為があった?

霜月席田辺寄席
第442回
11月17日(土)夜席 午後6時10分開演
〈いちもん会〉


一、牛ほめ     笑福亭 松五(松枝門下)
 家をほめたり牛をほめたり、覚えることが多くて出向く男は大変。覚える噺家も大変…。

二、へっつい盗人  笑福亭 右喬(松喬門下)
 右喬さんは「へっつい」を調べに、天六にある住まいのミュージアムへ出かけたとか。商家から裏長屋まで、様々な家屋が再現されている。

三、四四二号笑呆亭…『高津の富』から
         桂 文太(五代目文枝門下)
 宿屋のある大川町は今の地下鉄淀屋橋駅あたり、高津神社は谷町九丁目駅のそば。乗り換えも含めて地下鉄五駅分になる。千両の富くじに当たった後、気が動転したまますぐに宿屋へ帰ったような話の運びになっているが、そこは落語的な時間経過ということか。

中入り

四、強情      笑福亭 銀瓶(鶴瓶門下)
 近代以降の作品。それが一番よく分かるのは牛肉を食べようというシーンだ。江戸時代も全く食べなかったわけではなく、武士や町人が食べた記録もあるが、牛肉を一般的に食用にするようになったのは、文明開化以降といえる。

五、スタディ・ベースボール 笑福亭 仁智(仁智一門)
 「私の中では古典」と仁智師。最初は高校野球が舞台だったが、プロ野球に設定変更された。特待生制度などが問題となる今、キャラクターには困るかもしれないが、高校野球に戻したほうが時代にマッチするのではないだろうか。

霜月席田辺寄席
第443回
11月18日(土)昼席 午後1時10分開演
〈いちもん会〉


一、手水廻し    桂 雀五郎(雀三郎門下)
 手や顔を洗う、というのが手水の本来の意味。便所を「お手水」などと言うのは、用を足した後に手を洗うところからだそうだ。

二、天災     桂 よね吉(初代吉朝門下)
 心学の先生の名前は、もともとは紅羅坊名丸だった。吉朝一門は「堀定勘兵衛」で演じたりするが、これは吉朝師と関わりの深かった三人の作家先生の名前の一部をつなげたもの。

三、四四三号笑呆亭…『五両残し』から
         桂 文太(五代目文枝門下)
 相手の本心が知りたい…というのは、男女間の永遠のテーマか。とくに相手が「玄人」の女性となるとなおさらのようで、『辻占茶屋』でもこの落語と同様、女性の本心を試す趣向が出てくる。妻が夫の本心を知りたくて…というネタなら『厩火事』があり、文太師匠も演じる。

中入り

四、一文笛       桂 団朝(米朝門下)
 スリの世界を扱うが、最近はスリ犯罪といえば外国人が多い気がする。日本人の犯罪が増えたのは振り込め詐欺か。日本人の手先が不器用になってきたのか、「頭脳労働」に移ったか。

五、瘤弁慶    桂 九雀(二代目枝雀門下)
 武蔵坊弁慶ほど古典芸能の世界で活躍するキャラクターはない。能でも歌舞伎・文楽でも、弁慶の出てくる作品は枚挙に暇なし。だが落語には、思うほど出てこないのでは。『船弁慶』も『青菜』も、弁慶本人は登場しない。

紹介文執筆…中川 桂




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