田辺寄席では、参加者に「田辺寄席ニュース『寄合酒』ー当日版」 をお配りしています。
  06年4月までは、桂文太師匠が出題する「寄合酒クイズ」と中川 桂氏(芸能史研究者・大阪大学非常勤講師)の演題の紹介が掲載されて いました。06年5月からは月3回公演に伴い紙面も変更され、三公演 の演題紹介と「楽語写」が掲載されています。このページには演題紹介を収録しました。
演題紹介トップページへ



文月席田辺寄席
第429回
7月21日(土)昼席 午後1時40分開演
〈いちもん会〉


一、いらちの愛宕詣り 笑福亭 瓶成(鶴瓶門下)

 標高九二四メートル、愛宕山の上にある愛宕神社は、この夏も7月31日の夜から8月1日の未明にかけて「千日まいり」で賑わう。

二、おごろもち盗人 笑福亭 風喬(松喬門下)

 「嘘つきは泥棒の始まり」は落語でもよく聞くことわざだが、フランスにも「嘘つきは悪魔の子ども」というのがある。嘘を戒める心理は共通としても、日本は泥棒が多かったのか?

三、四二九号笑呆亭…『嵐雪抄伝』から
     桂 文太(五代目文枝門下)

 後ろ姿の美人絵というと、菱川師宣の「見返り美人」が連想される。江戸時代は元禄ごろの作といわれるが、その帯の結びは、少し前の時期に活躍した歌舞伎役者・上村吉弥が用いて流行した「吉弥結び」。記念切手の図柄にもなったが、それも今から半世紀以上前のこと。

中入り

四、夢屋 〜さとう裕・作〜       笑福亭 伯鶴(六代目松鶴門下)

創作落語だが、30年ほど前の作という由緒ある一席。前半は現代に舞台が改められている。

五、らくだ  笑福亭 鶴志(六代目松鶴門下)

 江戸時代の文政年間に、中国風の衣装を着て踊り囃すのが流行した。「看看踊」とか「カンカンノウ」といわれるが、大坂では文政三年ごろ流行が始まった。そのころラクダの見世物も、難波で興行されて大きな話題を呼んでいる。


月席田辺寄席
第430回
7月21日(土)夜席 午後6時10分開演
〈いちもん会〉


一、初恋       桂 三ノ助(三枝門下)

 島崎藤村の詩に「初恋」があるが、それを下敷きにした三枝師匠作の創作落語。世代の異なる、ふた組の恋愛の行方は。

二、青菜        桂 文鹿(文福門下)

 暑い季節に、冷やの酒を一杯やるのは実に心地よいもの。「柳陰」は焼酎をみりんで割ったものでアルコール度数も高く、冷やして飲むのがとても美味だそうだ。

三、四三〇号笑呆亭…『無妙沢』から
         桂 文太(五代目文枝門下)

 東京の『鰍沢』を文太師匠がこちらに移した一席だが、舞台を能勢の妙見さんとしたほか、サゲも改められている。元のサゲは、危機一髪というところで「南無妙法蓮華経」と唱え続けて、筏の一本の丸太につかまり「お題目(材木)で助かった」という地口だった。

中入り

四、色事根問   桂 坊枝(五代目文枝門下)

今の言葉に置き換えて「一、ファッション。二、イケメン…」と、現代版に変えても演じられそうだが、古くからのストーリーやクスグリには何ともいえない可笑しみがある。

五、質屋蔵   桂 枝女太(五代目文枝門下)

 7月といえば天神祭の季節、天満の天神さんもたいへんな賑わいをみせる。旧暦では6月の25日が祭礼の日で、主に「鉾流しの神事」といった呼ばれ方がされていた。そんな天満宮の祭神、菅原道真公が最後に登場するのだが…。


文月席田辺寄席
第431回
7月22日(日)昼席 午後1時10分開演
〈新・じっくりたっぷりの会―桂 文太の段〉


一、動物園      森乃 石松(福郎門下)

 旭川市の旭山動物園は、「行動展示」と呼ばれる新鮮な展示手法で大人気。こちらはひと昔前?の移動動物園を舞台にしたおはなし。

二、長尾さん 〜くまざわあかね・作〜  桂 しん吉(初代吉朝門下)

 携帯電話のマナーを扱った、まさに現代を舞台にした噺で、亡き吉朝師匠が初演した。現代風にスーツ姿、というスタイルで演じられる場合もある、とのこと。

三、四三一号笑呆亭…『鰻の幇間』から
         桂 文太(五代目文枝門下)

 『万葉集』にも見られるほど鰻の食用の歴史は長い。室町時代には鰻のなれずしや蒲焼もあったが、そのころは長いまま丸焼きにして食べたらしい。美味しい食べ物になったのは江戸時代以降のことで、この時代にようやく、割いて骨やわたを除くようになり、たれをつけて焼く蒲焼の手法も始められた。

中入り

四、阿弥陀池      桂 米平(米朝門下)

「過ぎし日露の戦い」が終結したのは一九〇五(明治38)年、この噺はそれから程遠くない時代に、桂文屋が作ったものである。

五、八五郎出世  桂 文太(五代目文枝門下)

 東京では『妾馬』の演題も。六代目三遊亭円生師匠のマクラで「女、氏なくして玉の輿に乗り、男、意気地なくして〈あめやおこし〉を売る」のフレーズが妙に可笑しくて印象深かった。


紹介文執筆…中川 桂



© 2002〜 田辺寄席世話人会