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水無月席田辺寄席
第462回
6月21日(土)昼席 午後1時40分開演
《いちもん会》


一、平の陰    森乃 石松(福郎門下)

 別名を「無筆の手紙」と呼ばれているこの噺。その名の通り、字が読めないキャラクターが出てくるのだが、他に「向う付け」などにも登場するなど、落語界では喜六・清八に続く準レギュラー的存在である。

二、太閤記「天王山のとりやり」
      旭堂 南湖(三代目南陵門下)

 天王山といえば、「天王山トンネルを先頭に十キロ〜」という交通情報のアナウンス。名神高速で常に渋滞しているイメージのある天王山トンネルをまず浮かべてしまう。

三、四六二号笑呆亭…『ぜんざい公社』から
     桂 文太(五代目文枝門下)
 原型は三代目・桂文三が作ったといわれている。衛生料理という新作落語が三代目・桂文三によって広められ、「衛生料理」という題が次第に「改良しるこや」。現在の「ぜんざい公社」に引き継がれたらしい。

中入り

四、コメディー・マジック     松旭斎 小天正

 マジックバーがオープンしたり、マジックの玩具が飛ぶように売れているなど…近頃マジックブームが到来とも言われている。

五、指南書    森乃 福郎(福郎一門)

 この噺に出てくる男は、大の指南書好き。日本人は昔から指南書が好きな民族と言われており、これらの類の本が親しまれていたそう。


水無月席田辺寄席
第463回
6月21日(土)夜席 午後6時10分開演
《いちもん会》


一、七度狐   桂 雀五郎(雀三郎門下)

 「七度狐」は「東の旅」シリーズの一つ。五代目柳家小さんは「東の旅」の「煮売屋」と「運つく酒」を合わせた構成「長者番付」という演目で演じていた。

二、書割盗人  桂 こごろう(南光門下)

 家中の壁に家財道具一式を書いて物持ちになった気分を味わうというところは、「貧乏花見」と通ずるところがあるように思える。

三、四六三号笑呆亭…『崇徳院』から
       桂 文太(五代目文枝門下)

 東京でもよく演じられている「崇徳院」。大阪は高津神社、東京では上野の寛永寺清水観音堂を舞台にしている。また江戸落語では木に吊るしてあった短冊が落ちてきて、そこに崇徳院の歌が書かれてあったという演出が多い。

中入り

四、パペット落語『立体西遊記』
   笑福亭 鶴笑(六代目松鶴門下)

 落語をよりビジュアル的に楽しめ、世界各国で言葉の壁を越えて見てもらえるという考えから誕生した鶴笑師匠のパペット落語。ロンドンから日本に活動拠点を移し、近頃は繁昌亭大賞の爆笑賞も獲得と、めざましい活躍ぶりである。

五、星野屋  桂 雀松(二代目枝雀門下)

 原話は元禄十一年に刊行された『初音草大噺大鑑』の一遍である「恋の重荷にあまる知恵」。落語に出てくる女性の中でも、よりしたたかな一面を見ることが出来る。



水無月席田辺寄席
第464回
6月22日(土)昼席 午後1時10分開演
《いちもん会》


一、江戸荒物  笑福亭 瓶成(鶴瓶門下)

 荒物とは笊や箒、塵取りなどの雑貨類を表している。今はデパートやスーパーで日用雑貨を買うことはできるが、明治時代には荒物屋や行商などがあちこちで見られたという。

二、胴斬り   笑福亭 右喬(松喬門下)

 もし自分が辻斬りに遭遇し、上半身と下半身の真っ二つに分かれてしまったら…当たり前だが絶対にこの世には生きていない。けどこの噺では何事もなくちゃんと生きてる。挙句の果てに下半身には命が宿る。何度聴いても笑える一方で、不思議な噺でもある。

三、四六四号笑呆亭…『ん回し』から
       桂 文太(五代目文枝門下)

 「ん回し」は前半部分を「寄合酒」、後半部分を「田楽喰い」としてそれぞれ独立して口演されることが多く、前半後半通しで口演されることは今ではほとんど耳にしない。

中入り

四、お笑い腹話術
        笑福亭 学光(鶴光門下)

 腹話術は古代において、呪術や占いの一部として神秘的な力をアピールするために用いられてきたと言われている。

五、子盗人   笑福亭 三喬(三喬一門)

 狂言「子盗人」が題材となっているこの噺。江戸落語では「穴どろ」と呼ばれている。落語に出てくる盗人は、緻密な完全犯罪をするわけでもない。どちらかといえば、盗人向きではない者ほど盗人を生業にしているようだ。


紹介文執筆…吉田達



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