中川 桂(芸能史研究者・大阪大学非常勤講師)による
演題紹介
第345回 2002年11月10日
《たっぷり じっくりの会》露の団六の段
一、動物園/林家 染太(染丸門下)
外国にも同趣向のジョークがあるので、あるいは外国種の話かもしれないが、落語となったのは明治の末、二代目桂文之助の自作自演によって。現在の形に仕立てたのは米朝師匠である。元来は古風な見世物形式で、怪しげな弁士の口上に続き緞帳が上がって動物が姿を現す、という段取りだった。現在でも東京の噺家の一部は、このスタイルで演じている。染丸門下で現在修業中の染太さん、田辺寄席初登場。
二、 お血脈/露の 団六(五郎門下)
本日の団六さんの二席は、どちらもお寺がらみのネタ。信州信濃の善光寺は、寺伝によれば642年の創建、その後たびたび火災にあったが復興され、国宝に指定されている現在の本堂は宝永4年(1707)の建立である。ほかにも山門や経蔵など江戸時代に建てられたものが多く残る。境内にある宝物館には、開山とされる本田善光とその家族の木像が安置されていたが、「血脈の印」は見当たらなかった。
三、お楽しみ/桂 文太(文枝門下)
「リクエスト落語」のシリーズを先月の99席目でいちおうの区切りとした文太師匠、今月からしばらくは「お楽しみ」として、最近出ていないネタから一席演じるとのこと。
ところで先日、文太師匠に尋ねた。「よく薫ちゃんの言動がクイズになってますけど、あれは師匠が面白おかしく脚色してはるんですか?」「いや、あれはほぼ100パーセント真実や」。薫ちゃんの発想、おそるべし。
中入り
四、片棒/桂 わかば(ざこば門下)
国民体育大会(国体)が今年は高知県で開かれたが、39年ぶりに開催県が、総合優勝である天皇杯の獲得を逃した。しかしよけいな選手強化費や施設整備費を減らしての総合10位という健闘に、賛同の声が多数届いたという。高知の施策は「ケチ」ではなく、立派な節約だ。この噺では葬式の費用をめぐって親子の激突が。
五、鳥屋坊主/露の 団六(五郎門下)
噺の冒頭に出てくる「鳥屋町」とは正式な町名ではなく、鳥屋店が軒を並べていた一帯の俗称。現在の本町辺り…備後町と安土町に、鳥屋だけでなく八百屋、しょう油屋、ろうそく屋など諸商売店が集まっていた。幕末の地誌によれば、大は孔雀や鶴から、小は雀や燕まで売っており、同じ店で食用と観賞用の鳥を商っている。現在の感覚では信じがたいものがあります。
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