田辺寄席  
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中川 桂(芸能史研究者・大阪大学非常勤講師)による
演題紹介


第349回 2003年3月23日
《たっぷり じっくりの会》桂三歩の段

一、みかん屋/桂 まめだ(文福門下)

現在、日本のみかんを代表する品種はウンシュウ(温州)ミカン。農林水産省の統計でも、みかんといえばこの品種をさす。キシュウ(紀州)ミカンは中国が原産で、日本に伝わった年代は不明だが、江戸時代以降、日本のみかんの主要品種となった。しかしウンシュウミカンの普及で栽培は減少。いま、クイズの設問に挙がっている県で生産されているのはほとんどがウンシュウミカンである。

二、お茶汲み/桂 喜丸(ざこば門下)

東京ネタの上方移植。もともと上方にも同趣向の『黒玉つぶし』という噺があったのだが、そちらのほうは廃れてしまった。原典は狂言の『墨塗り』といわれる。『かけとり』でも、借金取り撃退の言い訳としてこのテクニックが使われているが、このように狂言・落語と様々なところで出てくるところを見ると、昔はよく使われた「手」だったのだろうか?

三、馬の田楽/笑福亭 瓶太(鶴瓶門下)

演題を出すことで噺の内容が明かされてしまう…というものがあるが、これもその一つ。しかし田辺寄席にご来場の皆様なら、オチも大概ご存知でしょう。豆腐田楽は江戸の中・後期には人気食のひとつで、特に田楽料理が流行した時期もあったらしい。その当時は行楽地の茶屋や宿場町でも庶民の人気を集めたほか、花見など春の行楽には欠かせない味覚だったといい、「田楽の味噌へすりこむ桜花」の句が残る。

中入り

四、ズバリ当てま賞「は」の三番/桂 文太(文枝門下)

先月の第二回「ろ」では『六尺棒』が登場。東京ネタをこちらへ移した一席だが、所要時間が短くて洒落た噺で、東京の寄席では重宝される理由がうかがえた。今月の「は」の巻は、先月と一変してネタが多く、どのネタも可能性がありそうに見えるのだが…。結果は如何に?
a、『八度狸』七度狐の向こうを張った、文太師匠の自作。やはり喜六・清八のコンビが旅先で騒動を。
b、『初天神』腕白坊主を連れて天神さんに参るおなじみの一席だが、文太師匠独自のクスグリがいろいろと。
c、『八五郎出世』これも文太師匠が東京のネタをこちらへ移植したもの。妹が玉の輿に乗り、八五郎が城中へ。
d、その他…「は」で始まる候補作は多彩。

五、天神山/桂 喜丸(ざこば門下)

この噺の舞台となる一心寺周辺で、今年も4月6日(日)に「なにわ人形芝居フェスティバル」が開かれる。一心寺シアターでは有料の淡路人形芝居などが上演されるほか、一心寺や安居の天神さんの境内では、無料の大道芸や昔の遊びが。とくに家族連れにお勧めの催しだ。見物がてら訪ねれば、『天神山』の作品世界のイメージが湧くのではないだろうか。

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