中川 桂(芸能史研究者・大阪大学非常勤講師)による
演題紹介
第351回 2003年5月11日
《たっぷり じっくりの会》桂 楽珍の段
一、寄合酒/笑福亭 風喬(松喬門下)
阪神タイガースが好調。去年の今ごろも「今年は違う」と言っていたように思うが、今年こそ「今年は違う」と思いたい。観客数も昨年同時期より微増。甲子園も今年からスタンド内は禁煙となり、スタンド下の通路に喫煙コーナーが設置されたが手狭なのだろう、満員の日には一歩スタンド下に入ればすべてが喫煙場所という状態だった。しかし「禁酒」令は出ていないので、ビール片手の観戦は今までどおりOK。
二、こんにゃく問答/桂 楽珍(文珍門下)
こんにゃくは軟弱で安定性の悪いものの代名詞として、昔からことわざにもよく使われている。ひどくぐにゃぐにゃして不安定な様子を「こんにゃくの幽霊」(軟弱なものが二つ)と言い、たいそう震えている様子は「こんにゃく屋の内へ地震がいる」(よく震えるものが二つ)と言うそうだが、これだけ否定的なニュアンスで使われるこんにゃくも、いい迷惑である。この落語はしっかりした構成で聴かせる名品。
三、打飼盗人/桂 福矢(福団治門下)
「うちがい」はもともと、鷹・犬などの食糧を入れて携帯する「打飼袋」のことで、ここから旅人が携行する食糧の容器をもさすようになったらしい。貨幣や鼻紙などもここに入れたというが、元来の目的は金銭収納ではなかったわけだ。しかし近松門左衛門の『女殺油地獄』(享保6年=1721年初演)に「このうちがいに新銀五百八十匁…」とあるので、上方では古い時期から財布としての用途もあったのだろう。
中入り
四、ズバリ当てま賞〜「ほ」の五番/桂 文太(文枝門下)
第四回「に」では、ついに「その他」からの一席が登場したが、お二人が『二十四孝』の演題までズバリ正解。これも江戸落語を文太師匠が移入した噺で、親不孝者の行動が結局裏目…というサゲは、やっぱりよく出来ていると感心する。今月の「ほ」の巻はいわゆる前座ネタが少なく、何が出ても聴き応えがありそう。
a、『本能寺』信長に対する光秀の謀反をあつかった歌舞伎を題材とした芝居噺。
b、『坊主の遊び』上方の「坊主茶屋」とは一味違う、ご隠居の茶屋遊びの顛末は。
c、『堀川』酒極道と喧嘩極道、二人のムチャもんが暴れ倒す噺。題名は終盤語られる浄瑠璃から。
d、その他…「ほ」の候補作は少ないのですが…。
五、天狗裁き/桂 楽珍(文珍門下)
現代のこどもたちの夢…将来なりたい職業はなに? 5月5日の「こどもの日」を前に、毎年恒例の調査結果が公表された。今年の小学生男子の一位「学者」は、明らかにノーベル賞W受賞の影響。ほかにスポーツ選手は納得できるが、「公務員」は夢がない(むしろ親の夢)。女子は看護士のほか、獣医やペットショップ店員など、ペット(ハムスター?)ブームの影響が。
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