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中川 桂(芸能史研究者・大阪大学非常勤講師)による
演題紹介


第361回 2004年3月21日
《たっぷり じっくりの会》桂福車の段

一、鉄砲勇助 /笑福亭 智之介(仁智門下)

うそをつくのを戒めることわざは世界各国にある。「嘘つきは泥棒の始まり」とほぼ同じものはフィリピンにもあり、フランスでは「嘘つきは悪魔の子ども」と強烈だ。「嘘つきは長生きしない」はスリランカのことわざだが、何を根拠としているのか?「夢のない長い眠りと、嘘のない長い話はない」(ルーマニア)と、なんか納得するようなものもある。うその物語で人を楽しませる分には構わないということで…。

二、ないもん買い/桂 福車(福団治門下)

春の彼岸も中日を過ぎたが、彼岸中の四天王寺は、落語に描かれた昔も今も変わらず賑やかだ。境内には多彩な物売り店がひしめく。経木(きょうぎ)の戒名を書く商売は落語にも残っているが、いまも健在。食べ物屋、日用雑貨に骨董品。新品の肌着を売る店もあれば、古着屋…昔でいう「古手屋」もたくさん出ている。冷やかして歩き回るだけでも半日は過ごせるが、店の迷惑になるような遊びは慎みましょう。

三、愛宕山/笑福亭 生喬(松喬門下)

かわらけは油皿などに使った薄い素焼きの陶器で、「土器」と書く。この「かわらけ投げ」、落語好きならいっぺんやってみたいと思うのでは?もう愛宕山ではできないようだが、いま関西でかわらけ投げのできる場所としては能勢妙見山、愛宕山から少し東にある高雄の神護寺、琵琶湖の竹生島などがあり、厄除けとして行われている。ほかに「ここでもできるで」という情報があればお知らせください。

中入り

四、ズバリ当てま賞〜「よ」の十五番/桂 文太(文枝門下)

先月の「か」の十四番は、選択肢aの『軽業』か…と思わせておいて、実は『軽業講釈』だった、という卑怯な…もとい、粋な演出。したがって正解はdの「その他」だったが、dの的中者は、投票者全体の約一割の10名だった。今月は「よ」で、また候補作は減少。
a、『寄合酒』おなじみの前座噺。酒だけはあるがアテがないため、一人一品ずつ持ち寄ることにするが。
b、『四人癖』それぞれ特徴のあるクセを持つ友達四人。罰金制度を定めてクセの矯正に挑む。
c、『よもぎ餅』江戸落語の『黄金餅』の移入だが、葬礼の道中からサゲまで改変。すでにTV・ラジオでも演じており、文太ファンにはおなじみの一席?
d、その他

五、辞世の句/桂 福車(福団治門下)

東京の落語界は近年、大御所が次々と世を去って寂しい限りである。2001年10月に志ん朝(敬称略、以下同)、02年5月に小さん、03年6月に柳昇、そして今年1月に文治と物故者が相次いだ。後進たちは、チャンスが広がったと思うくらいの気持ちで奮起してもらいたいところだ。この一席は別段深刻な噺ではなく、根問い物のパターンで楽しめる。(遠山桜・作)

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