田辺寄席  
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中川 桂(芸能史研究者・大阪大学非常勤講師)による
演題紹介


第362回 2004年4月18日
《たっぷり じっくりの会》桂米左の段

一、青空散髪/林家 市楼(染語樓門下)

天王寺公園は第五回内国勧業博覧会の跡地につくられたもので、1909(明治42)年に開園された。園内には花壇・日本式庭園・動物園・美術館などが揃っている。「慶沢園」は住友家から大阪市に寄贈された庭園。公園への入場は諸般の事情から有料になってしまったが、これからは散策にもよい季節だ。そこを舞台にしたこの噺は先代染語樓師の作で、市楼さんまで三代伝わる、まさしく「お家芸」である。

二、持参金/桂 米左(米朝門下)

現在演じられている箇所は『不思議の五円(ご縁)』という別題もあり、持参金が五円であることがサゲに結びつくというものだった。本来はまだ続きがあり、この後は『逆さまの葬礼』や、『捨て米』といったくだりでサゲとなる演出もあって、なかなかの長編なのである。滅びかけていたものを米朝師匠が現在の形に整えて演じるようになって以降は、本日お聴きのような形で落ち着いている。

三、禁酒関所/笑福亭 遊喬(松喬門下)

この噺で酒持ち込みの口実に使われるカステラだが、いつごろ日本に到来したのかは諸説あって定かでない。遅くとも戦国時代には日本に入ってきたようで、ポルトガルの宣教師が長崎の平戸に持ち込んだという。以後、長崎から京・大坂、さらに江戸へと広まった。その昔、京都三条の万屋五兵衛の店では、カステラを茶菓子だけではなく、大根おろしやワサビを添えて酒のアテにもよいと宣伝したそうな。

中入り

四、ズバリ当てま賞〜「た」の十六番/桂 文太(文枝門下)

先月の「よ」は予想一番人気の『よもぎ餅』だったが、田辺寄席のお客さんの高い的中率に感服。もとは「餅屋を始める由来の一席」と、サゲらしいサゲもない終わり方だったが、文太師匠がややブラックなサゲを付け加えた。今月「た」の予想は、なかなか難題かも。
a、『蛸芝居』歌舞伎の主要場面を合体させたような芝居噺。店の者が全員芝居好きという商家での騒動とは。
b、『高倉狐』珍品だが、れっきとした上方落語。高津神社境内にある高倉稲荷が噺の舞台となる。
c、『代脈』住み込みで修業しながら一人前の医者を目指す、年若い医者の卵の物語。厳重な注意事項を聞いて病家先へ向かうのだが…。
d、その他

五、百年目/桂 米左(米朝門下)

この春は暖冬の影響か、桜の開花がかなり早かったが、その後冷え込みが戻ったためだろうか、ずいぶん長い間桜が散らずに残っていて、長期間お花見が楽しめた。『百年目』は上方落語屈指の大作にして、花見シーズンの噺を代表する一席でもある。造幣局の通り抜けも終了したが、田辺寄席で少し遅めの「噺の花見」をお楽しみいただくのも一興でしょうか。

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