
中川 桂(芸能史研究者・大阪大学非常勤講師)による
演題紹介
第364回 2004年6月20日
《たっぷり じっくりの会》桂 文昇の段

一、子ほめ/桂 ちょうば(ざこば門下)
日本の昨年度出生率が、一昨年度の1・32から更に落ち込んで1・29まで下がった。しかもその事実が、一昨年までの数字を根拠に議論していた年金制度改革法の成立直後に発表されただけに論議を呼んでいる。それでなくても未納問題等で将来の運用が疑問視されているのに、将来この制度はどうなるのだろうか。落語国の登場人物にとっては、少子化になると赤ん坊をほめて一杯飲めるチャンスが減ってしまう。
二、書割盗人/桂 文昇(文枝門下)
書割とは芝居の大道具として使われる舞台風景のことで、田辺寄席の舞台背景である松の絵も、いわば書割である。今の舞台は四代目で、パン屋の二階で始まった頃の初代舞台は背景も何もなく、二代目の舞台では家で使用中の本物の襖を、寄席の時に毎回外して持ってきていた。そのため寄席の日は家に襖がなかったとか。松の絵が入ったのは三代目からで、現在の四代目舞台は96年5月の第二六八回から使用中。
三、花嫁御寮/桂 三扇(三枝門下)
ジューン・ブライド…6月の花嫁は幸せになれる、との言い伝えがあるが、その謂れは諸説あるようだ。6月の呼称が結婚をつかさどる神に由来するとか、昔のヨーロッパでは6月から結婚が解禁になった、などだが、西欧の6月は一年で最も雨が少なく爽やか、という気候によるところが大きいのでは。逆に日本は梅雨時なので、結婚式の予約が入りにくい式場が広め出したような気もする。〈桂三枝・作〉
中入り
四、ズバリ当てま賞〜「そ」の十八番/桂 文太(文枝門下)
先月の「れ」には、投票するお客さんも困ったことだろう。票も見事に割れた。結果は「その他」の『蓮根と人参』だったが、最少得票ながら15票も入ったのは驚き。さて、今月の「そ」は、また一転して比較的候補作があるのだが、選択肢には珍品が並んだ…。
a、『象の足跡』雪上に残された足跡を推理する、なんとも不思議な噺。先代の森乃福郎師匠から伝わった。
b、『ぞろぞろ』難波の赤手拭稲荷は参拝者も少なく寂れかけているが、そこを根強く信仰する荒物屋の老夫婦にご利益が。
c、『そばのご隠居』どれくらい蕎麦が食べられるかを賭ける「そば賭け」を扱った、おなじみの江戸噺を脚色した一席。
d、その他
五、高津の富/桂 文昇(文枝門下)
大阪市内の夏祭りは、6月30日からの愛染祭で幕を開ける。そこから生国魂神社、杭全神社、玉造稲荷…と各所で続くが、この噺の舞台・高津さんでも7月17・18両日に夏祭りが行われ、こども神輿などが出る。今年はちょうど土・日にあたるので人出も多そう。18日の日曜は田辺寄席開催日なので、寄席帰りに参るのもいいのでは。ただし富くじはありません(たぶん)。
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