
中川 桂(芸能史研究者・大阪大学非常勤講師)による
演題紹介
第365回 2004年7月18日
《たっぷり じっくりの会》桂 文太の段

一、道具屋/桂 雀太(雀三郎門下)
今の時代に、そこらの商店街で古道具屋さんを見かけることはまずないが、現代それにあたるものはフリーマーケットではないだろうか。手作りの品を売る人も中にはあるが、家庭の不要物を持ち寄って売っているスペースなど、なかなか凄いものが置いてある。注意深く見て回れば「足の取れた電気スタンド」に負けんような品物に巡り合えるかもしれない。雀太さんは田辺寄席初登場、ほやほやの新品です。
二、稽古屋/桂 文太(文枝門下)
文太師匠のところへ「『稽古屋』に出てくる小川市松さんは実在の人物でしょうか?」との質問が来た。上方の地唄舞には確かに、小川流という流派がある。流祖は上方歌舞伎の振付師だった小川理右衛門で、その流れを汲んだ小川照(てる)が家元になり、主に大阪で活躍した。現在も小川流を名乗る舞踊の流派がちゃんと存在している。しかし「小川市松」さんは架空の人物やろなあ…と考えております。
三、青菜/笑福亭 瓶太(鶴瓶門下)
梅雨も明けて夏本番だが、今年は6月下旬から、すでに夏本番という天候だった。梅雨の37日間で、大阪の降水量は平年の約6割。台風が来たのにこの数値なのだから、いかに少なかったか。6月終わりから7月にかけては真夏日が連続12日、熱帯夜も連続6日に及ぶ暑さだった。「柳陰」を冷やで飲み、氷の上に盛られた「鯉の洗い」がいただければさぞ涼しい気分でしょうが、庶民は発泡酒で満足しときますか。
中入り
四、堪忍袋/桂 つく枝(文枝門下)
昨今、些細なことで幼児を虐待したりする事件が後を絶たないが、昔から堪忍・辛抱の大切さを説いたことわざは数多い。「堪忍は一生の宝」「堪忍は身の宝」のほか、我慢して耐えれば利益も得られるし、さらに工夫をこらせばなお儲かるという「堪忍五両、思案十両」というのもある。堪忍はカネのため?という気がしなくもないが…。落語『天災』にもいろいろ出てきますな。大正時代に東京でつくられた一席。
五、ズバリ当てま賞〜「つ」の十九番/桂 文太(文枝門下)
先月の「そ」では、一番人気の『そばのご隠居』が高座にかけられた。江戸落語では『そば清』としておなじみだが、「最後に一発勝負をする人物にしたいので隠居にした」とは文太師匠の言。さて、今月の「つ」は候補作もわりに多いのだが、次のような選択肢となっている。
a、『つるつる』題名からは内容が分からん落語の代表例? 故・文楽、志ん生師匠お得意の噺だった。
b、『次の御用日』真夏の昼間の情景も髣髴とさせる情緒豊かな中盤から、最後はケッタイなお裁きへ…。
c、『つる』前座噺ながら、落語のエッセンスが詰まった重要な一席。もとは『絵根問』の一部。
d、その他
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