田辺寄席  
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中川 桂(芸能史研究者・大阪大学非常勤講師)による
演題紹介


第373回 2005年3月27日
《〜鶴瓶師匠の『らくだ』を聞く会〜

一、牛ほめ/笑福亭 瓶生(鶴瓶門下)

今月9日に桂文紅師匠、12日に桂文枝師匠が相次いで亡くなられた。両師匠のご冥福をお祈りします。噺家がまだまだ少なかった、戦後間もないころから上方落語を支えて現在の隆盛につなげたお二人。家を普請するように土台からコツコツと積み上げた成果である。芸も同じく一日にして成らず。『牛ほめ』のような代表的前座噺をしっかりこなして、将来の名人芸へ。

二、代書/笑福亭 純瓶(鶴瓶門下)

一般的な辞書を引いても「代書屋」はあまり載っていないが、「代書人」なら出ている。この職業を現代に当てはめれば、役所に提出する書類を作成する行政書士が一番近いだろうか。ほかに訴訟の書類を請け負う司法書士、また確定申告の時期にお世話になる、仁鶴師匠もご推奨?の税理士などに、現代では細分化されているといえるだろう。桂米団治師匠の、1939(昭和14)年頃の作だが今や古典の一席。

三、ズバリ当てま賞〜「お」の二十七番/桂 文太(文枝門下)

前回「の」は『軒付け』の一席。とくに紙屑屋のテンさんの演出に、文太師匠の工夫が光る。今月の「お」はシリーズ二度目の登場となる。
a、『親子酒』親父も息子も泥酔して帰宅。こんな家庭は今も多い?
b、『お茶汲み』東京移入。色町でもてた話を聞いた男、もてる秘訣を真似るのかと思いきや。
c、『大江山酒呑童子大蛇太夫』贋作芝居噺。以前に出た『大江山鬼切丸由来』の続編。
d、その他

中入り

四、らくだ/笑福亭 鶴瓶(鶴瓶一門)

昨年九月から続きに続いた30周年記念公演もついに大団円。大トリには鶴瓶師匠の、とびきりの大ネタが登場する。鶴瓶師匠は過去四回田辺寄席に出演しているがすべて非公表だったので、プログラムに載るのは今回が初めて。私も演題紹介を記すのは初めてである。
ラクダの見世物の人気、カンカンノウの流行、千日前に火葬場があった時代…と考えれば、作られたのは間違いなく江戸時代。だが古くは、今ほど大ネタという意識はなかった。大作になったのは、東京にもこのネタを伝えた四代目桂文吾が演じた、明治末〜大正初期から。この噺は立派な大ホールで聴くよりも、その情景を実感するには、広さ・雰囲気とも田辺寄席のような小屋こそ最適であると断言します。

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