
中川 桂(芸能史研究者・大阪大学非常勤講師)による
演題紹介
第378回 2005年8月21日
《新・じっくりたっぷりの会》桂三象の段

一、月並丁稚/桂 吉坊(吉朝門下)
「月並」は毎月恒例のもの、月に一回あるもの、といった意味だが「取るに足らない、ありふれたもの」という、あまりよくない意味もある。月ごとに定期的に催される会としては、和歌、連歌、俳句の会などを指すのが主流。この噺で言う「月並の釜」とは、毎月恒例の茶の湯の会だろう。多くは「毎月○日」という形で開催日が決まっていたので、このお店(たな)の茶の湯も毎月28日に定められていたのかも。
二、アメリカ人が家にやってきた/桂 三象(三枝門下)
中学から高校、大学の教養課程まで含めると8年間も英語を習いながら、およそしゃべれないという人は多い。日本の英語教育では読む訓練がほとんどで、しゃべるための学習はほとんどしていなかったのだから当然の話だ。遅ればせながら近年になって、文部科学省も英語が使える日本人の育成を掲げ出した。そんな平均的?日本人家庭をアメリカ人が来訪。
三、骨釣り/桂 米輔(米朝門下)
今でもテレビで釣り番組があり、釣り情報が載る新聞もあって、釣りは堂々とレジャーの一角を占めている。だが庶民に釣りが広く普及したのは、世の中が安定した江戸中期以降のようだ。それ以前はあくまでも食糧を得るための手段であり、趣味としての普及ではなかったらしい。手近な場所での陸(おか)釣りもできれば、この噺のように資金のある旦那は船を出して沖釣りに出かけるなど、身分に応じて楽しめる。
中入り
四、ズバリ当てま賞〜「ふ」の三十二番/桂 文太(故・五代目文枝門下)
このところ予想投票は接戦が続いている。先月「け」でも、a〜cの三席でそう大差なく票が割れた。結果は頭ひとつ抜けて一番人気だった『袈裟茶屋』が高座にかかり、田辺寄席参加者の予想眼の確かさが感じられた。今回は「ふ」の巻、東京移入あり、大ネタあり…。
a、『文六豆腐』身投げを図る若者を助けたものの、どうしても金が要ると言われて渡した金の出所は。
b、『不動坊』不動坊とは旅興行中に死んだ講釈師の名前。美人のおたきさんが後家となり、金貸しの利吉の嫁に…。
c、『船弁慶』故・文枝師匠の十八番。大川での船遊びに行くため、怖いヨメに「友達の喧嘩の仲裁」と嘘をついて出かけたが。
d、その他
五、真心サービス・おじんタクシー/桂 三象(三枝門下)
何かと話題になる少子・高齢化。人口動向予測では、日本の総人口は来年の06年にピークに達し、減少に向かう。その中で高齢者の割合は増え、20年後には全体の約29%、3・5人に一人となるとか。まだまだ元気な年配者に働いてもらう必要は、これからますます増えそうだ。そんな近未来も感じさせる一席。
|