
中川 桂(芸能史研究者・大阪大学非常勤講師)による
演題紹介
第379回 2005年9月18日
《新・じっくりたっぷりの会》笑福亭鶴二の段

一、寄合酒/桂 まん我(文我門下)
心斎橋に、そごうが5年ぶりに帰ってきた。80年前の開店以降、屋上に庭園や遊園地を作り、劇場を設けるなど文化発信にも力を注いできた流れを受け、今度も14階に「そごう劇場」とギャラリーを開設。劇場では毎月、落語会も行われるとのこと。南向かいの大丸にもミュージアムがあって、心斎橋からの文化発信が再び活発になりそうなのも楽しみ。さて、『寄合酒』にはどんな食材を商う店が出てきますか。
二、二十四孝/笑福亭 鶴二(故・六代目松鶴門下)
日本橋の国立文楽劇場が、この11月に開場から数えて第百回目の文楽公演を迎える。記念の演目は『本朝廿(にじゅう)四孝』の通し狂言。信玄と謙信の争いを主軸にした作品中に中国の二十四孝を取り込んでいるが、もともと複雑な物語展開の中に出てくるサイド・ストーリーなので分かりにくい。中国の二十四孝を知るにはこの噺のほうが役立つ。
三、はてなの茶碗/桂 春若(春団治門下)
京都東山・清水寺の創建伝承は、音羽山から清らかな水が湧き出ており、それを崇め祀ったところから。山号寺号が音羽山清水寺というのを見てもそれが分かる。音羽の滝は日中に訪れると観光客であふれているが、本来は行者の修業に使われる滝で、今でも早朝には修験者が滝の水に打たれる姿が見られるという。そんな音羽の滝近くの茶店から物語は始まる…。現在も滝のそばに茶屋があり、くつろぐには最適。
中入り
四、ズバリ当てま賞〜「こ」の三十三番/桂 文太(故・五代目文枝門下)
8月「ふ」の予想投票では、『船弁慶』が『文六豆腐』をやや離して一歩リード。亡き文枝師匠の十八番が聴きたいという期待もあったか?
だが結果は『文六豆腐』が高座に。期待よりも冷静に予想したお客さんに幸があったかも…。今回は「こ」の巻、どれも聴きたいような。
a、『高津の富』現在、文太師匠も落語会を開いている高津神社。そこを舞台にした噺の代表作で、落語会場も「高津の富亭」。
b、『五両残し』遊女の本心を確かめるため、旦那が一芝居うち、さらに続けて意外な展開が。
c、『孝行糖』あまり出ないネタだが、故・文枝師匠は若い時に時折演じていた。町内の孝行者に始めさせた風変わりな商売は。
d、その他
五、稽古屋/笑福亭 鶴二(故・松鶴門下)
日本舞踊の稽古では初心者がまず手ほどきを受ける際、稽古人が男でも女でも、まず女形の踊りから習う。女形こそが舞踊の「型」の基本なのだそうだ。また、重心を低くするのも大切なので「腰を落としなさい」という注意もよくされるとのこと。この落語で「腰を折ンなはれ」とお師匠はんが注意しているのは、実にリアルな稽古風景といえるだろう。
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