
中川 桂(芸能史研究者・大阪大学非常勤講師)による
演題紹介
第381回 2005年11月20日
《新・じっくりたっぷりの会》桂文春の段

一、宿屋町/桂 佐ん吉(故・吉朝門下)
今公演のポスターが作られた時点では、佐ん吉さんの所属はただただ「吉朝門下」となっていたのに…。今月8日、桂吉朝さんが50歳の若さで死去。謹んでご冥福をお祈りいたします。六番弟子の佐ん吉さんを含め、全七名の門弟が今後も師匠の芸を伝えてくれるだろう。今回の高座でも、明るく元気な落語を聴かせてくれるはず。『宿屋町』は前座の修練にも最適な旅ネタで、ここから『瘤弁慶』へとつながる。
二、饅頭怖い/桂 文春(文珍門下)
落語の中でも認知度の高い作品の一つ。とくに上方のこの噺は持ち時間によって長くも短くも演じられる実に重宝なネタだが、そもそもの着想としては、中国の笑話本のほうが早いらしい。原話の載る『五雑俎』や『笑府』が、それぞれ寛文元年(一六六一)、明和五年(一七六八)に和訳紹介されて日本人の知るところとなった。もっとも日本の浮世草子にも同様の着想があるので、日本人の発想も負けていない。
三、長命/桂 文福(文福一門)
秋の風物詩、ひらかた大菊人形が今年を最後に96年の歴史を終えることとなった。1910(明治43)年に京阪電車開通記念の催しとして開始。以来、毎年恒例のイベントだったが、職人の後継者不足などにより打ち切りとなる。菊の花は長寿の象徴とされ、菊を浮かべた酒を飲めば縁起がよいとされる。そんな菊の花、また96年続いた「長命」にあやかるために、12月4日の会期終了までに一度訪れてみては。
中入り
四、ズバリ当てま賞〜「て」の三十五番/桂 文太(故・五代目文枝門下)
9月の『高津の富』に続き、先月の高座も純粋な上方噺の『延陽伯』が登場。予想の一、二番人気は『江戸荒物』『閻魔堂綺譚』だったが、これで珍しそうなネタや東京移入のネタが予想しにくくなるのか、それとも「そろそろ出るはず」と読むか? さて、あなたの予想は。
a、『天神山』安居の天神さんで、捕まっている狐を助けたところ…。後半は歌舞伎・浄瑠璃でもお馴染みの物語のパロディー。
b、『転失気』子どもの前では知ったかぶりをしてしまうのが、大人の欠点。お医者さんの言う転失気とは。
c、『天王寺詣り』愛犬を死なせてしまった男、その供養のために彼岸の天王寺さんへ。境内ガイドにもなる一席。
d、その他
五、風邪うどん/桂 文春(文珍門下)
内風邪予防のために「うがい」をする日本の衛生習慣が、実際に効果的なことを医師グループが研究で立証した。うがい液などを特に使わなくても、水によるうがいを一日三度以上すれば風邪の発症率が抑えられたという。カネのかからん予防法だけに、この報道で実践者は増えるかも。ひいてしまったら、温かいうどんを食べてじゅうぶん休養をとるのが一番だ。
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